シッダールタ・ムカジー 著 | 仲野 徹 監修  田中 文 | 早川書房 | 420p | 2,500円(税別)

1.「遺伝子といういまだ存在しない科学」
 ―遺伝子の発見と再発見(1865~1935)
2.「部分の総和の中には部分しかない」
 ―遺伝のメカニズムを解読する(1930~1970)
3.「遺伝学者の夢」
 ―遺伝子の解読とクローニング(1970~2001)


【要旨】※3,000字のダイジェストのうち、約300字の要旨のみご覧いただけます。

AIと並び、人類の未来を大きく変える可能性と“危険性”を持つ「遺伝子工学」。がんをはじめとする難病の治療に役立つ反面、遺伝子組み換え食品や、ヒトのクローン、人間の改造が倫理的、社会的にどんな災厄をもたらすのか、誰にもわからない。本書では、そんな遺伝子の研究がいつ、どのように始められ、いかなる過程を経て、今日の隆盛を迎えたのか、その歴史を辿っている。19世紀後半のメンデルによる遺伝の法則の発見が、ダーウィンの進化論と結びついたことで遺伝学は歩み始めた。だが、ナチス・ドイツの台頭により、優生学による民族浄化という負の遺産を残したのも遺伝子の研究だ。日本語版上下巻の上巻では、倫理上のリスクなどから研究者自身が研究の一時中断を決めた1975年のアロシマ会議までを描く。ダイジェストでは、優生学との関わりをテーマとした箇所を中心に抜粋した。著者は医師、がん研究者でコロンビア大学メディカルセンター准教授。なお本書は、「ニューヨークタイムズ」ベストセラー1位、ビル・ゲイツ氏が選ぶ年間ベストブックに選ばれている。

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