高槻 泰郎 著 | 講談社(講談社現代新書) | 320p | 900円(税別)

1.中央市場・大坂の誕生
2.大坂米市の誕生
3.堂島米市場の成立
4.米切手の発行
5.堂島米市場における取引
6.大名の米穀検査
7.宝暦11年の空米切手停止令
8.空米切手問題に挑んだ江戸幕府
9.米価低落問題に挑んだ江戸幕府
10.江戸時代の通信革命


【要旨】※3,000字のダイジェストのうち、約300字の要旨のみご覧いただけます。

江戸時代の日本に、きわめて先進的な金融市場が存在した。大坂堂島米市場である。多くの海外研究者が「世界初の先物取引市場」としており、米切手という証券による日経225先物などに近い仮想取引が行われていた。江戸幕府と同市場の関係は現代の金融問題にも重要な示唆を与えてくれる。本書では、実際に堂島米市場でどのような取引が行われ、江戸時代の市場経済や政治、社会にいかなる影響を与えていたか、また米価や財政をめぐり江戸幕府がどんなコントロールをしようとしていたか、などを、史料に基づき、金融に詳しくない人にもわかりやすく解説しながら論じている。江戸幕府は市場経済と向き合い、官民連携でさまざまな政策を打ち出し、社会の秩序を守るべく努力していたようだ。著者は神戸大学経済経営研究所准教授で、ミクロ政策分析を専門としている。

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