大竹 文雄/平井 啓 編著 | 東洋経済新報社 | 316p | 2,400円(税別)

1.診療現場での会話
2.行動経済学の枠組み
3.医療行動経済学の現状
4.どうすればがん治療で適切な意思決定支援ができるのか
5.どうすればがん検診の受診率を上げられるのか
6.なぜ子宮頸がんの予防行動が進まないのか
7.どうすれば遺族の後悔を減らせるのか
8.どうすれば高齢患者に適切な意思決定支援ができるのか
9.臓器提供の意思をどう示すか
10.なぜ一度始めた人工呼吸管理はやめられないのか
11.なぜ急性期の意思決定は難しいのか
12.なぜ医師の診療パターンに違いがあるのか
13.他人を思いやる人ほど看護師に向いているのか


【要旨】※3,000字のダイジェストのうち、約300字の要旨のみご覧いただけます。

医療ドラマによくある、また実際に経験した人もいるであろう、がんなどの重病の告知場面。伝えられる患者や家族にとって、冷静さを保つのが難しく、今後の治療方針を説明されても、合理的な判断がしづらいものである。これに代表される医療現場における意思決定の問題には「行動経済学」が有効だ。本書では、2017年にリチャード・セイラー氏がノーベル経済学賞を受賞したことでも注目された行動経済学の知見をもとに、患者やその家族、および医師や看護師などの医療者が、重大な意思決定の場面で陥りがちなバイアス(感情などで歪められた不合理な心理傾向)を分析。いかに後悔のない適切な判断をすべきかを、さまざまなケースを想定しながら論じている。編著者の大竹文雄氏は、大阪大学大学院経済学研究科教授で、労働経済学と行動経済学を専門とする。平井啓氏は大阪大学大学院人間科学研究科准教授で健康・医療心理学、行動医学等が専門。ダイジェストで取り上げた章の著者で、大谷弘行氏は九州がんセンター緩和治療科の医師、塩﨑麻里子氏は近畿大学総合社会学部准教授である。

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