養老 孟司 著 | 扶桑社(扶桑社新書) | 273p | 890円(税別)

1.意識は、なぜあるのか?
2.人間は死んだら「モノ」なのか?「ヒト」なのか?
3.人間は「人工身体」と「自然身体」の二つのからだを持っている
4.人工(脳)と自然(身体)との釣り合いこそ重要である
5.人間は、意識だけでできているわけではない
6.「男」と「女」という言葉ができたとき、性の連続が断ち切られた
7.人間は、自分ができることの説明ができない
8.子どもを育てるとは「手入れ」をすること
9.「ああすれば、こうなる」だけになった現代社会


【要旨】※3,000字のダイジェストのうち、約300字の要旨のみご覧いただけます。

異常気象や原発事故、金融危機といった、人間がこれまでに築き上げてきた文明社会の歪みが表出してきている。「都市」をはじめとする近代社会の諸要素は、すべて人間の「脳」が“思うようになる”ように作り出した人工物だ。そうした人工物から自然を排除したことが「歪み」の原因ではないだろうか。本書は、著名な解剖学者である養老孟司氏の講演録である。現代社会は「脳」が作り上げた人工物であることを前提として、「都市」「意識」「現実」「自然」などについて、独自の視点でその正体を明らかにしている。人間は、「ゴキブリ」に象徴される、あまりにも“思うようにならない”自然を排除してきており、それがバランスを欠いた不健康な社会を生み出したのだという。著者は東京大学名誉教授、京都国際マンガミュージアム名誉館長。2003年発表の『バカの壁』(新潮新書)は大ベストセラーとなり、毎日出版文化賞を受賞している。なお、本書は2001年白日社より刊行された『脳と自然と日本』を加筆修正し、大幅に改訂したものである。

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