太田 康夫 著 | 日本経済新聞出版社 | 248p | 2,400円(税別)

1.危機――金利の国際基準が消える2021年
2.誕生――グローバリゼーションを拓く
3.暴走――不正でゆがむ金融秩序
4.改革――当局介入の軟着陸
5.挫折――重症だった国際標準
6.変質――グローバリゼーション、終わりの始まり


【要旨】※3,000字のダイジェストのうち、約300字の要旨のみご覧いただけます。

金融危機を誘発、あるいは少なくとも金融の大混乱を招きかねない、ある大きな変更が、2021年末に金融業界で予定されている。LIBOR(ロンドン銀行間金利)の“消滅”である。この、全世界で300兆ドル以上の取引に使われている国際標準の金利指標が、算出されなくなるのだ。本書では、LIBORの誕生から、その金融のグローバリゼーションに果たした役割、不祥事に端を発する2021年末の“消滅”決定までの経緯、予想される影響と金融危機への懸念などを、わかりやすく論じている。LIBORの存在によって成立していたとも言える国際金融市場は、国際標準を失うことで、自由で匿名性の高いその性質を失い、国や中央銀行による規制が及ぶ市場に変化していく。そしてそれは各国で生まれつつある反グローバリズムの動きとも連動しているのだという。著者は日本経済新聞社編集局編集委員。金融部、チューリヒ支局、経済部などを経て現職。

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