『新聞の運命』
山本 七平 著 | さくら舎 | 256p | 1,600円(税別)


序.沈黙が許されない新聞
1.正義の体質
2.透けて見える問題な日本的発想
3.オモテとウラ
4.テレビ化の波
終.活字文化の生き残り策


【要旨】※3,000字のダイジェストのうち、約300字の要旨のみご覧いただけます。

衰退するメディアの代表格のように言われる「新聞」。
日本新聞協会によると、2018年の日本の新聞発行部数は前年から222万部減、1997年のピーク時から4分の3になっている。
実はこの状況を予見するかのように、約40年前に日本の新聞の問題点を指摘する人物がいた。山本七平である。

本書は、評論家・山本七平(1921-1991)による、1970年代後半に「文藝春秋」誌で連載していた「最近新聞紙学」「新聞の研究」を中心とする新聞に関する論考を集め、初めて単行本化したもの。
「日本的発想」が現れているがために、とくに国際情勢における事実を把握しづらくなっている日本の新聞報道の問題点、テレビの普及による新聞の編集への影響など、日本の新聞を批判的に捉えながら、その生き残り策を提言。
インターネットが登場する以前に書かれたメディア論ではあるが、超情報社会となった現代の、報道や情報提供のあり方にも大いに示唆を与えてくれる論集となっている。
著者の山本七平は、『日本人とユダヤ人』(イザヤ・ベンダサン名義)、『「空気」の研究』などの名著で「日本人論」の大家として知られ、その日本文化と社会を分析する独自の論考は「山本学」と称される。

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