『がん検診は、線虫のしごと』
広津 崇亮 著 | 光文社(光文社新書) | 232p | 820円(税別)


1.「がん検査」と「がん治療」が大きく変わる
2.なぜ、線虫だったのか
3.「謎の学生」だった私が、「がんの匂い」に出会うまで
4.研究から起業へ――N‐NOSE実用化のステップ
5.N‐NOSEが世界を変える


【要旨】※3,000字のダイジェストのうち、約300字の要旨のみご覧いただけます。

死に至る病の筆頭だった「がん」も、近年は早期発見・早期治療で「治る病」となってきている。
その早期発見に関し、2015年3月に日本人研究者による画期的な研究論文が米科学誌に掲載され、話題になった。
それは「線虫が、非常に高い精度でがん患者の尿の匂いを嗅ぎ当てる」という驚きの発見だった。

本書では、体長1ミリの線虫が早期がんを検知することを発見し、起業して世界初の線虫がん検査「N-NOSE(エヌ・ノーズ)」の2020年実用化を目指す著者が、同検査ががん患者の命を救い、「生物診断」により医学界が格段の進歩を遂げる可能性を綴る。
優れた嗅覚を有する線虫は、1滴の尿だけでステージ0の段階からがんの匂いを嗅ぎ分ける。
そのため、わずかな手間と低コストでがんの早期発見が可能になるだけでなく、手術中、手術後の経過を正確に把握できるようにもなるという。
本書では、自身の歩みや発想の秘訣などを語りながら、次代の研究者へのメッセージも伝えている。
著者は東京大学大学院博士課程で線虫の嗅覚に関する研究を始め、九州大学大学院理学研究院助教時代の2015年に線虫ががんを検知する論文を米科学誌に発表。
2016年に株式会社HIROTSUバイオサイエンスを起業し、代表取締役を務める。

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