『ザ・ピッグ ―知られざるブタの真実』
The Pig: A Natural History
Richard Lutwyche 著 | Princeton University Press | 224p


1.進化と家畜化
2.解剖学と生物学
3.生態
4.ブタと人間
5.品種


【要旨】※3,000字のダイジェストのうち、約300字の要旨のみご覧いただけます。

世界で約10億頭が、主に食肉のために飼育されている「ブタ」。
その先祖であるイノシシを人類が家畜化したのは、遠く新石器時代まで遡る。
長年にわたり人間に良質なタンパク質を提供しつつ、童話やマンガ、アニメなどでユーモラスに擬人化されるなど親しまれてきたブタは、実はとても賢い動物でもある。

本書では、人間とブタのつき合いの歴史、生態、医学への貢献、食肉と宗教、驚くべき知能など、さまざまな角度のテーマから「ブタのすべて」を掘り下げている。
その形態や生態、家畜としての振る舞いから、肥満、下品、怠惰、強欲といったネガティブなイメージで捉えられることも多いブタだが、臓器の大きさ、むき出しの皮膚といった人間との共通点も多く、動物の中でも自己認識力、記憶力、学習能力などに優れた、非常に興味深い生き物でもある。
近年は、人間への臓器移植のドナーとしての役割も期待される。そうした潜在性も含め、本書ではブタの魅力をふんだんに伝えている。
著者のリチャード・ルティーチェ氏は英国のグロスターシャー、ヘレフォードシャー、ウスターシャーの三つの行政区画にまたがる「Three counties Agricultural Society(3郡農業団体)」の理事会メンバーで、同団体が企画する英国最大のブタの品評会の主幹事を務める。

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