『「本当の豊かさ」はブッシュマンが知っている』
ジェイムス・スーズマン 著 | 佐々木 知子 | NHK出版 | 416p | 2,600円(税別)


1.勤勉の報酬
2.母なる山
3.浜辺の小競りあい
4.入植者
5.いまを生きる
6.ツムクウェの道路
7.洞のある木
8.強い食べ物
9.ゾウ狩り
10.ピナクル・ポイント
11.神からの贈り物
12.狩猟と獲物への感情移入
13.狩りの成功を侮辱する
14.ライオンが危険な存在になるとき
15.恐れと農業
16.ウシの国
17.狂った神々
18.約束の地


【要旨】※3,000字のダイジェストのうち、約300字の要旨のみご覧いただけます。

私たちは長らく勤労を美徳とし、常に「成長」をめざした生産活動、経済活動を行ってきた。
しかし、貧富の格差や環境破壊、先進国における人口減少などの諸問題に直面し、これまでの「豊かさ」や「労働」に対する考え方を変えるべき時を迎えているのかもしれない。
そのヒントは「狩猟採集民」にあるようだ。

本書では、南部アフリカで今でも原始時代の狩猟採集文化を引き継ぐ生活を送る、ブッシュマンと呼ばれるサン人を対象とした著者のフィールドワークや、既存の研究に基づき、人類の「本当の豊かさ」について論じている。
著者がフィールドワークの対象としたのは、ナミビアとボツワナの国境地帯で暮らすジュホアン・ブッシュマン。彼らは何万年も前から、週に15時間ほどの労働で資源を分かち合う、精神的に満ち足りた生活を送ってきたという。
著者は、その生活様式こそが、人類が本来持つべき「豊かさ」ではないかと問いかける。
著者はケンブリッジ大学でアフリカ研究に従事した社会人類学者。25年以上、南部アフリカであらゆる主要なブッシュマン・グループとともに暮らし、調査を続けてきた。
また、シンクタンク「アンスロポス」を設立し、人類学的観点から現代の社会的・経済的問題の解決を図っている。

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