『海底の支配者 底生生物』
世界は「巣穴」で満ちている
清家 弘治 著 | 中央公論新社(中公新書ラクレ) | 200p | 820円(税別)


1.「謎」しかない底生生物
2.巣穴はすごい
3.砂浜に生きる
4.愉快な底生生物たち
5.深海底に挑め!
6.東日本大震災と底生生物
7.海底は「穴」と「謎」だらけ


【要旨】※3,000字のダイジェストのうち、約300字の要旨のみご覧いただけます。

地表の約7割を占める「海」は、地球の生態系を育み、気候変動にも密接に関係するなど、環境問題を考える上で重要な要素の一つといえる。
そんな海の「底」では、ふだんあまり意識されることはないものの、多種多様な生物が棲息している。
それらの小さな生き物を「底生(ていせい)生物」という。

本書では、海底上や海底下で暮らす「底生生物」たちの生態や魅力、海中での意外に重要な役割などを明らかにしている。
底生生物の中には、海底の地中に作る「巣穴」が海水を濾過したり、海底を移動するだけで海水組成の変化を起こしたりする種がいる。
また、巣穴や“這い痕(海底を這って移動した跡にできる土の変化)”など、底生生物が残した痕跡は、過去の海洋環境や生態系を知るヒントになるのだという。
著者は、産業技術総合研究所地質調査総合センター主任研究員。専門は海底生物学、海洋地質学で、特に底生生物のつくる「巣穴」や這い痕の調査を中心に研究活動を行っている。

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