『魚はなぜ減った? 見えない真犯人を追う』
山室 真澄 著 | つり人社 | 128p | 1,100円(税込)


インタビュー 幼少期から現在まで水辺がライフワーク!
       山室真澄教授の信念に迫る
1.宍道湖のシジミ研究とネオニコチノイド系殺虫剤
2.カギを握る「食物連鎖」と宍道湖の生態系
3.ミジンコのエサは減っていたのか? 水辺の有機物と物質循環の概念
4.「動物プランクトン」「エビ類」「オオユスリカ」の同時期の激減
5.容疑者をネオニコチノイド系殺虫剤に絞り込んだ根拠
6.釣り人の視点が生態系全体の保全のヒントになる
7.ネオニコチノイドに頼らない農業に向けて
まとめ 脱「ネオニコ」の可能性を探る。


【イントロダクション】※3,000字のダイジェストのうち、約300字の要旨のみご覧いただけます。

魚の漁獲量が減った場合、原因を特定するのは簡単ではない。その魚の生息数自体は減っているのか。減っている場合、なぜ減っているのか。
水質が悪い、エサが減った、エサのエサが減ったなど、さまざまな原因が考えられる。目に見えない物質の変化が関わる場合など、化学的な技術や知見が必要な場合もある。

本書は、島根県・宍道湖のワカサギとウナギの激減に、「ネオニコチノイド系殺虫剤」という農薬がかかわっていることを明らかにした著者が、その研究の内容を解説したもの。著者の論文は、2019年に学術誌『Science』に掲載された。
ネオニコチノイド系殺虫剤は、農作物を害虫から守る一方、魚類のエサとなる虫やエビを減らし、それらをエサとする魚類も減らしているようだ。こうした生態系の変化に気づくためには、マクロな視点に加え、水圏の食物連鎖の上位にある魚を指標とすることが重要という。著者は、農薬を悪者とするのではなく、事実と知識に基づいて将来への前向きな議論を重ねるべきだとしている。

著者は東京大学大学院新領域創成科学研究科教授。専門分野は陸水学・沿岸海洋学・生物地球化学。学生時代の卒業研究から学位論文まで宍道湖の生きものをテーマに研究し、その後も一貫して同湖の研究を続けている。


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