『「させていただく」の使い方』
-日本語と敬語のゆくえ
椎名 美智 著 | KADOKAWA(角川新書) | 224p | 990円(税込)


1.新しい敬語表現――街中の言語学的観察
2.ブームの到来――「させていただく」の勢力図
3.違和感の正体――700人の意識調査
4.拡がる守備範囲――新旧コーパス比較調査
5.日本語コミュニケーションのゆくえ――自己愛的な敬語


【イントロダクション】※3,000字のダイジェストのうち、約300字の要旨のみご覧いただけます。

言葉は時代とともに変化するものだが、近年、とみに使用が目立つようになった言い回しに「◯◯させていただきます」がある。
この「させていただく」とその類似表現は、丁寧だが慇懃無礼に聞こえる場合もあり、敬語として違和感を覚える人も少なくないようだ。それでもつい使ってしまうのはなぜなのだろうか。

本書では、言語学者である著者が、「させていただく」のさまざまな使用例を挙げながら、意識調査やコーパス調査(実際に使用された言語データをもとにした調査)の結果をもとに、日本語や敬語の変化とその原因、社会的背景などを分析している。
著者によると、「させていただく」は他者への敬意を表す伝統的な敬語の枠外にある、別のタイプの敬語であり、その使われ方が変化してきている。相手との距離感を調節できる便利な言葉であり、自分を丁寧な人間に見せるために使われている表現なのだという。

著者は法政大学文学部英文学科教授。専門は言語学、特に歴史語用論、コミュニケーション論、文体論。ランカスター大学大学院博士課程修了(Ph.D)。『「させていただく」の語用論』(ひつじ書房)などの著書がある。


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