田口 洋美 著 | 山と溪谷社(ヤマケイ新書) | 224p | 880円(税別)

1.平成のシシ荒れ
2.生息域拡大期の現実
3.近世の相克「シシ荒れ」森の消長と野生動物
4.狩猟の公共性
5.クマと向き合う

【要旨】※3,000字のダイジェストのうち、約300字の要旨のみご覧いただけます。

近年、日本各地の山間部だけでなく民家近くでもツキノワグマやヒグマを目撃、遭遇、襲われるなどのニュースを耳にすることが多くなってきた。各自治体では、クマの出没情報や対処法を提供するとともに、地元民、観光客や登山者・山菜採りなどに注意を呼びかけている。では、そもそもなぜ以前よりもクマの出没や農作物への被害、人身事故が増えているのだろうか。本書の著者は、それは習性の変化などクマの側だけに原因があるのではなく、人間の生活や社会の変化にクマが懸命に適応した結果なのだと指摘する。本書では、クマをはじめとする野生動物が人間に危害をもたらす「シシ荒れ」と呼ばれる現象がなぜ起こったのか、近世からのクマと人間の関係の歴史などを踏まえ、多方面から分析。行政や私たち個人が何をすればいいのかも具体的に提言している。著者は東北芸術工科大学教授で、自然と人間の関わりを歴史社会的視点から捉えた狩猟文化研究に実績がある。

SERENDIP会員の方は本ダイジェストをこちらからお読みいただけます。