川上 浩司 編 著 | 近代科学社 | 224p | 3,200円(税別)

1.不便益システムデザイン(川上浩司)
2.自動車の運転支援(平岡敏洋)
3.義手のデザイン:人に関わるモノのあり方を考えるために(小北麻記子)
4.発想支援(半田久志/川上浩司/平岡敏洋)
5.コミュニケーション場のメカニズムデザイン:書評ゲーム「ビブリオバトル」のデザインを読み解く(谷口忠大)
6.博物館の学びを支える手がかりのデザイン(塩瀬隆之)
7.〈弱いロボット〉と人とのインタラクションにおける不便益(岡田美智男)
8.観光と不便益(泉朋子/仲谷善雄)
9.妨害による支援(西本一志)
10.「結びの科学」に向けて(須藤秀紹)
11.生命システム論から不便益を捉えなおす:不便益の実在証明(白川智弘)

【要旨】※3,000字のダイジェストのうち、約300字の要旨のみご覧いただけます。

テクノロジーの進歩のおかげで、人間社会はますます「便利」になってきている。だが、利便性向上が人々の幸福に寄与するどころか、人間が本来持つ能力や意欲を奪うのではないかと危惧する声も小さくない。それらは、便利さへの信頼やその追求が過度にならぬよう、歯止めをかけるべきというものだ。本書では、その一歩先の議論が行われている。つまり、むしろ「不便」であることに価値があり、効用が見込めるはず、という議論だ。本書の編著者は、そうした「不便だからこそ得られる効用」を「不便益」と呼ぶ。編著者がウェブ上に立ち上げた仮想研究所「不便益システム研究所」に集まったさまざまな分野の研究者による論考を集めたのが本書である。それぞれの専門分野からの「不便益」に関するアプローチや事例を持ち寄っている。編著者の川上浩司氏は京都大学デザイン学ユニット特定教授。なお本ダイジェストでは、川上氏による第1章と、豊橋技術科学大学の岡田美智男教授による第7章から抜粋した。

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