吉田 正人/筑波大学 世界遺産専攻 吉田ゼミ 著 | 山と溪谷社(ヤマケイ新書) | 208p | 880円(税別)

1.世界遺産条約における自然と文化の関係
2.白神山地 狭められた価値と誇張された価値
3.屋久島 利用と保全の狭間。そして、島民文化の再発見
4.知床 世界的なモデルとしての自然遺産管理
5.小笠原諸島 外来種対策の実験場
6.奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島
7.富士山と紀伊山地 文化遺産にとっての自然とは?
終.ふたたび世界遺産条約を問い直す


【要旨】※3,000字のダイジェストのうち、約300字の要旨のみご覧いただけます。

観光資源になることから登録の可否が常に注目される「世界遺産」。ユネスコ総会で1972年採択された世界遺産条約に基づき、各国の推薦をもとに審議の上登録されるもので、日本からは1993年以来22の登録がある。だが世界遺産には自然と人間の関係が考慮されないなどの問題も生じているようだ。本書では、そうした世界遺産本来の目的から離れたとも考えられる諸問題について、日本の世界遺産(2018年に登録延期となった「奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島」を含む)のうち主に自然遺産を中心に推薦や登録に関わる経緯などを紹介しながら論じている。自然遺産と文化遺産を別々の機関が審査している現状で、自然と人々の信仰や慣習などが一体化したケースをどのように拾い上げるか、といった課題について著者から具体的提言もなされている。著者の吉田正人氏は筑波大学大学院教授。日本自然保護協会研究員として世界遺産条約批准促進に関わり、小笠原諸島世界自然遺産科学委員会、富士山世界文化遺産学術委員会委員を務める。吉田ゼミでは世界遺産条約における自然と文化の関係を研究している。

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