『ドイツ・パワーの逆説』
ハンス・クンドナニ 著 | 中村 登志哉 | 一藝社 | 234p | 2,700円(税別)


序論 歴史の回帰か
1.ドイツ問題
2.理想主義と現実主義
3.継続と変化
4.侵略者と犠牲者
5.経済と政治
6.欧州と世界
結論 地経学的な準覇権国家
補遺 欧州と難民
日本語版への補遺 「平和国家」と「フリーライド」


【要旨】※3,000字のダイジェストのうち、約300字の要旨のみご覧いただけます。

2010年のユーロ危機以降、経済力を背景に欧州で多大な影響力を持つに至った大国・ドイツ。
英国のEU離脱が実現すれば、ますます政治的・経済的なパワーを不動のものにすると予想される。
だが、本当にドイツは欧州の覇権国家として君臨できるのか。また、世界の中でどんな役割を果たすのだろうか。

本書では、1871年のドイツ統一とドイツ帝国建国以来、ドイツが欧州で果たしてきた役割を、歴史を辿りつつ検証。それを踏まえ、ギリシャの破綻に端を発するユーロ危機以降のドイツが「地経学」的な大国に変貌したと論じる。
地経学とは、主に軍事的手段で獲得する「地政学」的な利益を、経済的手段で実現しようとする考え方だ。
さらに本書では、ドイツを「覇権国家」と呼ぶには、経済的に“小さすぎる”と指摘し、地経学的な「準覇権国家」と定義。それに反発する周辺国の包囲網により欧州が再び不安定化するリスクを警戒している。
著者は、2018年から英国王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)で、ドイツや欧州、米欧関係を専門とする気鋭の研究者。
本書は欧米で広く反響を呼び、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、韓国語版が、次々と出版された。

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