『海のアルメニア商人』
-アジア離散交易の歴史
重松 伸司 著 | 集英社(集英社新書) | 208p | 1,155円(税込)


1.アルメニアン・シルクロード
2.陸と海のインド交易回廊
3.アルメニア商人とイギリス東インド会社
4.アルメニアン・コミュニティの家族史
5.アジア海域のアルメニア海運
6.アルメニア商船の日本就航
7.アルメニア商人の居留地交易
8.アルメニア通り・教会・ホテル


【イントロダクション】※3,000字のダイジェストのうち、約300字の要旨のみご覧いただけます。

アルメニア共和国がどこにあるか、すぐに思い出せるだろうか。アルメニアは、トルコやイランなどと接する西アジアの内陸国である。
歴史的に大国の侵略、民族の離散を繰り返してきた一方で、「交易の民」であり、「アルメニア商人」と呼ばれる人びとが、長距離巡回交易を行い活躍してきた。

本書は、多くの史料に基づいてアルメニアの歴史を振り返りながら、アルメニア人が大国の干渉や侵略に遭いながらも、その不遇の中をいかに生き抜いてきたかに焦点を当てる。
小民族のアルメニア人は、16~17世紀には、サファヴィー朝やオスマン帝国といった大国にとって対抗勢力とはみなされず、異端者として、むしろ情報収集力、商才、交渉力などを買われて重宝されていたという。また、日本との間で行われていた交易においても、家族経営の小さな組織ゆえに、大手海運会社の参入しない分野での「ニッチ交易」で利権を求める戦略をとっていたようだ。

著者は歴史学者。追手門学院大学名誉教授。「マレーシアおよびシンガポールにおけるインド移民社会の形成と変容」をテーマに博士号取得(文学)。著書に『マラッカ海峡物語 ペナン島に見る多民族共生の歴史』(集英社新書)などがある。


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