【新書】一人あたりGDPトップの国がとっている政策とは
経済
2025.08.05

『「稼ぐ小国」の戦略』
-世界で沈む日本が成功した6つの国に学べること
関山 健/鹿島平和研究所 編著 | 光文社(光文社新書) | 304p | 1,100円(税込)
まえがき――なぜ人も資源も限られた小国が一人あたりGDP世界トップ10になれたのか 関山健(京都大学教授)
1.ルクセンブルク――競争力のある産業を育てる先見性
川野祐司(東洋大学経済学部教授)
2.アイルランド――海外からの直接投資による成長プロセス
土田陽介(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部)
3.スイス――競争力を支えるクオリティ戦略 森健(野村総合研究所)
4.シンガポール――変化の兆しを見せる「成功した開発独裁国家」
久末亮一(アジア経済研究所副主任研究員)
5.アイスラインド――地理的条件を活かした産業展開
川野祐司(東洋大学経済学部教授)
6.デンマーク――その経済を知ることの面白さ
井上陽子(デンマーク在住ジャーナリスト)
7.日本――人口減少下での生産性の向上と新陳代謝の重要性
小黒一正(法政大学教授)
8.日本が再び豊かになるためのヒント――小国からの3つの示唆
関山健(京都大学教授)
【イントロダクション】
一人あたり名目国内総生産(GDP)は、その国・地域の平均的な生活水準を示す指標といえる。
日本は1990年代半ばまで世界のトップ3に入っていたが、現在は経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中21位にすぎない。そして、上位10カ国・地域中のアメリカを除く9つが、人口1000万人未満の小国である。
本書は、一人あたりGDPランキング上位の小国がなぜ成功しているのか、その戦略をひもときながら日本の今後を考えるヒントを探っている。ダイジェストでは、1位のルクセンブルク(2023年の一人あたりGDPは12万9810ドル)と、2位のアイルランド(同10万3466ドル)をとりあげた。
ルクセンブルクは金融業や宇宙産業という付加価値の高い産業に注力する。アイルランドは立地を生かし、アメリカの製薬会社や情報通信企業を誘致して高成長した。なお日本の一人あたりGDPは2023年に3万3899ドルである。
編著者の関山健氏は、京都大学大学院総合生存学館教授。鹿島平和研究所は、元外交官で外交史家だった鹿島守之助博士の寄付によって1966年に設立。安全保障、経済、政治、社会について政策提言などを行っている。本書は同研究所「小国の外交力に関する調査研究会」での議論の一部をまとめたもの。
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