【新刊】栄養素が海底から極地まで世界中を循環する理由
環境問題
2025.09.24

『食って、出して、死ぬ』
-世界は排泄物で循環する
ジョー・ローマン 著 | 米山 裕子 訳 | 河出書房新社 | 344p | 2,970円(税込)
1.はじまりの島
2.深海からの贈り物
3.食って、産んで、死ぬ
4.ハートランド
5.鶏の惑星
6.だれもがウンチをし、やがて死ぬ
7.ビーチバカンスのお供に
8.歌う樹
9.ユスリカの霧
10.ラッコと水爆
【イントロダクション】
地球の生態系は、複雑な地形と多様な動植物の関わりによって成り立っている。
食を通じた生物のつながりを示す「食物連鎖」はよく知られるが、排泄物や死骸を介したつながりは、これまであまり注目されてこなかった。近年、こうした要素が生態系の循環を支える重要な役割を果たすことがわかってきたようだ。
本書は、海鳥、クジラ、サケ、ヌー、ユスリカなどさまざまな生物を対象とした調査や研究をもとに、それらの「食べて、排泄して、死ぬ」という行動が、生態系に及ぼす影響を解き明かしている。
栄養素は、重力や風や水流によって運ばれ、深海にたどり着くことになるが、クジラが深海で食事をし、海面に上がって栄養素を豊富に含む糞をすることで、海底にとどまることなくプランクトンに消費され、地球を循環する。またユスリカは、湖の中で藻を食べて育ち、成虫となって飛び立つが、その大量の死骸が周辺の植物を育てる栄養になるという。
著者は、ヴァーモント大学ガンド環境研究所の保全生物学者、海洋生態学者。クジラの生態学、絶滅危惧種の保護、外来種が専門。2022~23年にはハーヴァード大学ラドクリフ研究所に特別研究員として勤務。著述家としても活躍している。
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