【海外書籍】なぜ「水を味わう」ことが議論を活発にするのか
文化
2025.09.25

『「水の味」で環境と社会を考える』
-産業テロワールとフレーバーストーリーの力
The Taste of Water: Sensory Perception and the Making of an Industrialized Beverage
Christy Spackman 著 | University of California Press | 306p
1.産業テロワールとは
2.環境を語る水の分子
3.水の味で未来を予測する
4.テイスティング――会議室から街へ
5.消えていく土地の個性:21世紀の産業テロワール
結論 フレーバーストーリー――味と未来をつなぐ物語
【イントロダクション】
「テロワール」という言葉のように、「その土地ならではの味がする」ことは、飲食物の価値の一つになっている。しかし逆に、味や匂いを最小限にすることが奨励されるものもある。「水道水」だ。
ふだん口にする水道水は、多くの場合「その土地の個性」は求められない。その無個性はどのように実現されたのか。
米国カリフォルニア大学の出版部門から刊行された未邦訳の本書では、水と、その味や匂いに対する感覚を通じて、水がどのように生産され、管理されてきたのかを主に米国やフランスの事例から辿りつつ、「味」を社会課題の解決に役立てる「フレーバーストーリー」という方法を提案している。
汚染された原水を化学物質などで処理することで、水道水はどこで飲んでも変わらない均一な品質が保たれてきた。こうした水の処理・生産は「産業テロワール」と呼ばれ、私たちの生活や社会に大きな影響を与えてきたという。
著者のクリスティ・スパックマン氏は、アリゾナ州立大学未来社会イノベーション学部助教授。ニューヨーク大学で食品研究の博士号を取得し、現職に至る。
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